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企業の持続的な成長を実現するダイバーシティの視点を取り入れた採用戦略とは?



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採用活動においてダイバーシティの視点を取り入れた戦略は、企業の持続的な成長にとって不可欠な要素となりつつあります。しかし、多くの企業が戦略の立案や推進において様々な課題を抱えているのも事実です。

今回は、ダイバーシティを効果的に採用戦略に落とし込み、戦略的に推進する「三井住友カード株式会社」「株式会社カインズ」をゲストにお招きして、【WORKS REVIEW】を実施。

ワークス・ジャパンが実施した「ダイバーシティに関するアンケート調査」の結果も交えながら、社員が自分らしく働ける環境づくりの実態を、各社独自の取り組みに焦点を当てながらレビューします!



 INDEX 




「ダイバーシティに関するアンケート調査結果」~ダイバーシティに関する企業動向~

人事コンサルティングのワークス・ジャパンは、「ダイバーシティに関するアンケート調査」を実施いたしました。本調査は、2025年2月17日から3月7日までの期間にわたり、これまでに当社へお問い合わせいただいた企業様や、名刺交換をさせていただいた企業様を対象として実施したものです。

調査の結果、ダイバーシティへの取り組みに関して「十分な環境が整っている」と回答した企業は、全体の1割強にとどまることが明らかとなりました。
一方で、「取り組んでいない」「一部取り組んでいるが、まだまだ進んでいない」と回答した企業の割合は、合計で4割強に達しており、企業によってダイバーシティへの関心度合いや取り組みへの温度感に顕著な違いが表れる結果となりました。



また、社員が自分らしく働いていけるための取り組みについて問う設問では、「積極的に行われている」と回答した企業は、全体の1割程度にとどまりました。

対して、「あまり行われていない」「行われていない」と回答した企業は、合わせて3割強に上り、一定数の企業が、社員が自分らしく働ける環境や制度の整備に苦戦していることが明らかになりました。



◆ WORKS REVIEW 実施内容

ワークス・ジャパンが実施した「ダイバーシティに関するアンケート調査」では、ダイバーシティに関する取り組みが十分だと答えた企業は少数派にとどまる結果になりました。

一方で、ダイバーシティ推進を採用戦略に取り入れ、組織の成長を加速させたいと考えている企業は少なくないかと思います。

そこで今回は、「三井住友カード株式会社」、「株式会社カインズ」をゲストにお招きし、WORKS REVIEWを実施。社員の自由なキャリア選択を支援する制度や、現在注力している取り組みなど、各社が実際に実施している施策やその効果についてうかがいました。

※出演者情報はセミナー開催時点(2025年3月26日)のものです。



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出演者

古市 幸子 氏

三井住友カード株式会社
人事部 ダイバーシティ戦略室長

古市 幸子 氏

新卒で入社後、営業、CS、マーケティングに従事。
TVCM等の大型プロモーションの企画運営を経験後、人事部採用グループ長に就任。
過去最大規模の採用実績達成後、2024年4月より人事部ダイバーシティ戦略室の室長に就任。
次世代向けダイバーシティマネジメントプログラムの実行に尽力。
プライベートでは一児の母。

森 達也 氏

株式会社カインズ
採用実務教育部 部長

森 達也 氏

2005年に株式会社ファーストリテイリング/ユニクロへ新卒入社。営業部6年を経て、
人事部で新卒採用、海外新規出店国の現地採用、HRBP等々を 11.5年経験し、2022年にカインズに転職。
カインズ入社後は店舗組織人財開発室 室長として、
店長資格試験や育成配置の仕組み導入等々を実施後、2024年1月より採用育成室 室長を経て、
2025年1月より現職の採用実務教育部 部長に着任。

各社の採用概要


>三井住友カード株式会社(キャリア採用)
採用人数:約150名
採用手法:リファラル、スカウト、採用サイト、エージェント

>株式会社カインズ(新卒採用)
採用人数:250名
採用形態:総合職採用
採用手法:ナビサイト、イベント、採用サイト、アルバイト学生のインナー採用

ダイバーシティに関する各社の取り組み


株式会社カインズ<br>森 株式会社カインズ
カインズでは、人事戦略として「DIY HR」を掲げています。
本戦略は、「じぶんらしい働き方、創ろう。」をコンセプトに、「キャリアパス」「ラーニング」「コミュニケーション」「ワークスタイル」「ウェルビーイング」の5つの柱で構成され、社員一人ひとりが自身のキャリアや働き方を自分でつくる文化の醸成を目指します。
「DIY=自分でつくる」という言葉の響きは良いものの、実際には行動する姿勢やスキル、経験といった材料を持ち合わせていなければ、思い描くキャリアを実現することはできません。
だからこそ、私たちは社員が自ら学び、キャリアの選択肢を持てるような環境整備が重要だと考えています。この考え方は、これまでの「会社が用意した道筋を進む」という文化からの転換であり、現在も企業文化として醸成している最中です。

新卒採用では、「複線型キャリアモデル」と呼ばれるキャリア基盤を用意しており、全社員が店舗配属からスタートします。その後、店舗経験を土台に、将来的には140以上ある職種へとキャリアを広げられるようになっています。
しかし、社員が自分のやりたいことを見つけるには、自身のキャリアを考える機会の提供が不可欠です。そこで当社では、「自己理解」「上司との対話」「社内公募・キャリア申告制度の活用」「異動・挑戦の機会獲得(Will-Can-Mustの重なり)」という4つの気づきと意思表示の循環サイクルを提供し、社員の自律的なキャリア形成を促しています。
三井住友カード株式会社<br>古市 三井住友カード株式会社
古市
当社では、ダイバーシティを特定の属性に限定していません。自分とは異なる考え方や経験を持つ人と心理的安全性が保たれた状態で意見交換し、互いを理解しようと努めることをダイバーシティの本質と定め、イノベーションにも繋がる「価値創造の超基本行動」として社内に周知しています。

ダイバーシティ推進を「自分事化」するには、あらゆる社員に響くような多様な施策展開が重要だと考えています。これまでにも様々な施策に取り組んできましたが、現在では特に、キャリア採用人材のオンボーディング強化とダイバーシティの「見える化」に注力しています。

キャッシュレス市場の拡大や新規事業への挑戦を背景に、当社ではキャリア採用の人数が大幅に増加しており、「違うエッセンス」を持つ異業界経験者を積極的に採用しています。
しかし、異なる文化背景を持つ人材が増えることによるカルチャーギャップも課題として浮き彫りになりました。人材の多様性から生まれた新たな課題に対応するべく、オンボーディング体制を強化し、異なる文化でキャリアを築いてきた方々も長く定着し、本来の強みを発揮できるよう努めています。

また、ダイバーシティに関する議論が感情論に陥ることを避け、「ファクトベース」での対話を実現するために、「見える化」にも取り組んでいます。
具体的には、有給休暇取得率や勤怠状況などの人事データをダッシュボード化し、全社に公開しました。本取り組みは、ダッシュボードの社内のアクセス数ランキングで1位を記録し、多くの社員が関心を示している様子がうかがえる結果となりました。

ダイバーシティに関する企業の課題とは?
~事前調査アンケートより~


  【課題①】企業体質が古く、ダイバーシティ推進が進まない

三井住友カード株式会社<br>古市 三井住友カード株式会社
古市
経営層への浸透には「ファクトベースの対話」が有効だと考えます。
当社で実施されるダイバーシティ推進委員会では、経営会議の場で人事データを共有し、数字や事実に基づいて現状を伝えています。具体的なデータを示すことで、経営層は現状を正確に把握し、次のアクションを考えられるようになります。
このように定期的な情報提供を通じて、データに基づいた意思決定を促すことが、人事が担う役割の一つといえるでしょう。
株式会社カインズ<br>森 株式会社カインズ
大きく2つのアプローチがあると考えています。
1つ目は、社長や経営トップ層など、発言力のある方々が率先して推進する姿勢を示すことが大切だと思いますね。そして2つ目は、人事として「実態」を創っていくこと。たとえば、男性の育休取得も最初は抵抗感があったとしても、取得する社員が増えることで「取ってもいいんだ」という認識が広がり、当たり前の風土として醸成されていきます。
このように実績を積み重ねることが大切なのではないでしょうか。

  【課題②】ダイバーシティ推進の目的やゴールが定めづらい

株式会社カインズ<br>森 株式会社カインズ
お客様への貢献や事業成長が最終ゴールであることが前提にはなりますが、私なりの解釈では、ダイバーシティ推進のゴールは「従業員が選べる状態にあること」だと考えます。
ただし、「選べる」ということには責任や制約も伴います。何かを選ぶことは、別の何かを諦めることでもあり、選択には覚悟が必要です。
そのリアリティも含めて、「選べること」自体に価値があるということを伝えていかなければならないと考えています。
三井住友カード株式会社<br>古市 三井住友カード株式会社
古市
目的が曖昧になるのは、「何のためにやっているのか?」を見失ってしまうからだと思います。当社では、女性活躍や男性育休などの個別施策をゴールにするのではなく、「ダイバーシティは、企業価値を向上させるための手段である」という考えを大切にしています。
企業価値向上という最終ゴールに向けて、ダイバーシティの観点からどのような貢献ができるのか、という視点で施策を設計すれば、目的を見失わず継続的に取り組めるようになるでしょう。

  【課題③】多様性を無理に広げてしまうことに対する不安感がある

三井住友カード株式会社<br>古市 三井住友カード株式会社
古市
多様性の広がりに対して不安を持つ人がいるという事実が、まさにダイバーシティそのものではないでしょうか。ポジティブな意見だけでなく、不安視する声も重要な視点であり、ぜひ対話の機会を「見つけた!」と捉えていただきたいですね。
反対意見にも耳を傾け、コミュニケーションを図ることが、ダイバーシティ推進の大きな一歩になるでしょう。
株式会社カインズ<br>森 株式会社カインズ
「差別」と「区別」の線引きが必要だと思いますね。たとえば、当社の店舗業務には、重い資材の運搬など身体的な負荷が高い作業もあります。このような作業を全社員に一律で求める行為は現実的ではありません。
多様性という言葉を乱用するのではなく、業務内容との適合性を考慮し、できること・できないことの「区別」を行い、事業の本質やお客様満足を損なわない範囲でバランスの取れた運用をすることが重要なのではないでしょうか。

ダイバーシティに関する今後の展望について


株式会社カインズ<br>森 株式会社カインズ
「DIY HR」は、当社が取り組む人事戦略ではありますが、そこに至るまでの道のりや具体的な実行計画は、依然として発展途上です。「選択肢がある」だけでは不十分であり、社員が自ら選択し、実行できる「実態」の構築が必要です。また、ホームセンター業界特有の男性社会的な側面も変革していく必要があると考えています。
今後は、理想を掲げるだけでなく、社員一人ひとりが「選ぶことには覚悟も伴う」ことを理解した上で、自分で選んだ道に納得感を持って歩めるよう、制度や仕組みを整備していきたいですね。
三井住友カード株式会社<br>古市 三井住友カード株式会社
古市
まずは「既成事実」を積極的に作ることが重要だと考えています。事実が積み重なることで、それが文化となり、日常に溶け込んでいくのではないでしょうか。
最終的には、「ダイバーシティ推進室」のような専門組織がなくても良い状態、つまりダイバーシティが特別な施策ではなく、「当たり前」として根付き、誰もが多様性を自然に受け入れ、実践できる組織を目指していきたいですね。

ダイバーシティ推進を採用戦略に取り入れる!多様な人材が活躍する環境づくりとは? ~ 詳しくはアーカイブ配信で!



<その他、こんなこともお話しています!>
◆ 学生が思い描く多様性と企業が実践する多様性とのギャップを埋める取り組み
◆ 異なる経歴を持つ社員が定着し活躍し続けるためのオンボーディング施策
◆ 人事データを見える化した際の社員からの反応 等


当日お話しいただいたWORKS REVIEWの動画をアーカイブで配信しています。
施策に取り組む際の背景や今後の具体的な取り組み課題など、ダイバーシティを戦略的に推進するにあたって参考になる情報が発信されています!ぜひご視聴ください。

 【アーカイブ配信対象】

 収録日: 2025/3/26
 テーマ: ダイバーシティ推進を採用戦略に取り入れる!多様な人材が活躍する環境づくりとは?

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