事業の変容や多角化を背景に、求めるターゲット人材の細分化が進む昨今。
学生も企業ブランドや規模ではなく、職を意識するようになり、企業としても精度の高いマッチングが求められるようになりました。
一昔前とは異なり “理系”という大きな括りでは、ターゲット人材の獲得とマッチング向上の達成は困難になりつつあると感じている人事担当者も多いのではないでしょうか。
求める人材を確実に採用するためには、現場を巻き込んだターゲット人材の要件定義とアプローチ方法の再検討が必要になってきています。
今回は「マツダ株式会社」をゲストにお招きして、【WORKS REVIEW】を実施。
リクルーター制度の導入を検討している企業や活動活性化に取り組む企業に向けて、リクルーター制度立ち上げのコツと活性化のポイントをレビューします!
INDEX
◆ なぜ新卒の理系採用にリクルーターが有効なのか?
- 学生視点から紐解く
- 企業視点から紐解く
◆ リクルーター制度活性化のポイント・立ち上げのコツ【WORKS REVIEW 実施内容】
- マツダ株式会社が抱える新卒採用の課題
- リクルーター活動|体制とスケジュール
- リクルーター活動|目的
- リクルーター活動|効果と課題
- <リクルーター制度>立ち上げのコツ
- <リクルーター制度>活性化のポイント
- 最後に
◆ リクルーター活動のより詳しい内容は「アーカイブ配信」で!
なぜ新卒の理系採用にリクルーターが有効なのか?
学生視点から紐解く
理系学生は研究室などをベースにした「縦のつながり」が強く、就職活動の相談相手として大学の先輩を選ぶ傾向があります。
株式会社ワークス・ジャパンが実施した『就活生の意識のトレンド予測』でも、理系学生は就職活動に関する相談相手として大学の先輩を選ぶ割合が高い様子が見て取れます。
大学の先輩にあたるリクルーターの意見にも積極的に耳を傾けてくれる可能性が高いと言えるでしょう。
またOB・OGにあたるリクルーターからのコミュニケーションや情報提供に努めることで、理系学生と相互理解を深められる、理系学生との新たな接点を設けられる、などの成果を期待できるでしょう。
上記内容を掲載している、25卒学生インターンシップ意識調査資料の詳細はこちらからご覧ください。
≫ 『2023.05実施|25卒学生対象 インターンシップ意識調査』 詳細ページ
企業視点から紐解く
24卒採用では、約4割の企業がリクルーターを活用したとのこと。
対面回帰の傾向が見られ早期化が予測される25卒・26卒採用においては、人事の業務効率化や長期に渡る学生のつなぎ留めを考慮し、リクルーター制度をはじめとする現場を巻き込んだ協力体制が必須になってくるでしょう。
上記内容を掲載している、企業の24卒採用活動の振り返り資料の詳細はこちらからご覧ください。
≫ 『2023.06実施|企業対象 採用活動調査』 詳細ページ
また事業の多角化を背景に、ターゲット人材が細分化している企業が増える一方、理系学生は夏~秋期インターンシップ期間の「1dayインターンシップを含む2days以上のプログラムを選ぶ基準」として「大学/大学院での専攻分野との関連の高さ」を決め手とする学生が多い傾向が見られました。
企業・学生共により粒度の細かいマッチングが望まれるようになった今、リクルーターは双方のマッチング精度を高めてくれる役割を担い、ミスマッチの防止にも寄与してくれることでしょう。
上記内容を掲載している、25卒採用における就活生の意識・動向調査資料の詳細はこちらからご覧ください。
≫ 『2023.09実施|25卒採用における就活生の意識・動向調査』 詳細ページ
◆ WORKS REVIEW 実施内容
マツダが実施するリクルーター活動
~制度活性化のポイント・立ち上げのコツ~
今回は「マツダ株式会社」の新卒採用ご担当者様をお招きして、オンラインセミナーを実施。
採用難度が高まる理系学生採用に向けたリクルーター活用例やリクルーター制度の活性化のポイント、立ち上げのコツをご紹介いただきました。
※出演者情報はセミナー開催時点(2023年12月20日)のものです。
出演者
マツダ株式会社
人事本部 採用グループ 主幹
高田 誠 氏
マツダ株式会社が抱える新卒採用の課題
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マツダ
高田 -
>●新卒採用・概要
事務系:30~40名程度
技術系:200~210名程度
●業界の注目度低下×地方勤務というハードル
近年の課題としては、技術系において製造業に対する注目度の低下を感じています。これまで製造業に就職することの多かった機械系や電気系を専攻する学生が、IT関連の業界や企業に流れているように思いますね。
また当社は広島に本社・本社工場を構える会社です。
地方で働くことに抵抗感を持つ学生も年々増えており、何とか学生の獲得に努めているという状況です。
リクルーター活動|体制とスケジュール
体制
事務系:仕事の領域別でチーム編成 5チームで30名前後技術系:学校別のチーム編成 30校前後で180名程度
各チームにリーダーを設置しており、活動の方針は基本リーダーに一任。
活動の足並みが揃うよう、年度の活動開始時にキックオフを開催し、活動趣旨を全員に周知。
活動スケジュール(11月~翌10月のサイクル)
11月:リクルーター入れ替え後、活動スタート12月~2月:自社イベント参加
3月:応募学生選考に悩まれている学生へ個別フォロー活動
~10月:正式内定を出すまでの内定者フォロー
リクルーター活動に係る時間・活動費用の投資
時間:労働時間のうち10%~20%金銭面:広島から各大学への出張費
リクルーター活動|目的
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マツダ
高田 -
リクルーター活動を実施する一番の目的は、職場の雰囲気や働く社員の人柄など、学生にマツダについての理解を深めてもらうことですね。
実際に当社で働く社員とのコミュニケーションを通じ、マツダについて多角的に理解を深めてもらい採用・就職ミスマッチをなくしていきたいと考えています。
リクルーター1人あたりが担当する学生は、6~8名程度になり、対面とオンラインを使い分けながら学生フォローを担ってもらっています。
また交流イベントやウェビナーの企画立案~実施など、主にミスマッチを低減に向け相互理解を深められるような活動を実施しています。
リクルーター活動|効果と課題
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マツダ
高田 -
●効果
リクルーターは、辞退率やミスマッチ低減に貢献している他、学生の満足度向上にも寄与していますね。
特に当社の場合、新卒社員は全員広島勤務になります。地元との生活ギャップを埋めるという点でも、リクルーターは理解活動の一助になっています。
なお編成を一新した事務系に関しては、仕事に対する理解が深まると同時に情報不足を起因とした学生の思い込みが解消されたと感じています。職場の雰囲気を知れたという点においては学生からの満足度も高く、内定辞退率も前年と比較して大幅に改善されました。
またコロナ禍においては学生が学校に通えなくなった結果、キャリアセンターや就職担当の先生との関わり薄くなり、そういった方々を通じた学生情報の収集が困難になってしまいました。
そのような状況下においては、リクルーターに期待せざる得ない構図になり、自ずとリクルーターの重要性も高まる結果となりました。
●課題
やはり、「リクルーターの頑張りに対し、どう応えるのか?」という点は課題としてあります。
リクルーター活動は、日々の業務の合間に取り組んでもらっています。そのため業務成果の1つとして評価への加点やインセンティブ付与をして欲しいという思いにもなりがちです。
現状は、各現場の上司に対し評価の中に織り込んで欲しいとしか伝えられていません。
リクルーターの頑張り対し、納得感のある回答を用意していきたいですね。
<リクルーター制度>立ち上げのコツ
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マツダ
高田 -
●社内における協力体制の作り方
各現場のマネージャーと接する中で、「“自動車業界に目を向けない学生が多い”という実情を知らない社員も多い」と感じます。
「機械系を専攻している学生は、当然自動車メーカーの選考を受けるもの」ぐらいの感覚を持っている現場社員も意外に多いんですよね。
そのため、まずは現場社員に対して、採用市場の現状やマツダや自動車業界の立ち位置を分かりやすく事実ベースで伝えることが第一かなと。特に学生の考え方が「就社→就職」に変化している旨を共有することは必須だと思っています。
その上で、学生が欲しがっている現場の声を届けられる人材がリクルーターであることを理解してもらうことにより、リクルーター活動への協力体制が築かれていくのだと思います。
●制度定着(組織風土醸成)の取り組み
当社がリクルーター制度の定着に向けて意識して実施している施策は2つあります。
1つ目は、長くても3年を目処に新しいメンバーに入れ替え、職場にリクルーター経験者を増やすよう努めています。また2つ目は、採用の現場に現場社員を巻きこむ機会をなるべく多く設けるようにしています。
さらに現場に対しては、リクルーターの協力があってこそ各部署にマッチした人材が配属される可能性が高くなる旨を伝え、組織を作る上でリクルーターの活躍が不可欠であることを理解してもらえるよう取り組んでいます。
<リクルーター制度>活性化のポイント
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マツダ
高田 -
●現場理解の醸成・協力体制構築
当社にもまだまだ「採用は、人事の仕事だ」という考えを持つ社員もいます。
そのため私達としては“人を採用できない時代になっている”ことを現場社員にもしっかり認識してもらうことに注力しています。
数字と採用現場の実感値の双方を交えながら実情を伝えることはもちろん、選考の面接官を現場社員にも担ってもらうようにしています。
さらに面接官を担当した社員には、選考に関わった学生の内定の有無を伝えると共に、辞退情報も含め結果をフィールドバックしています。
軒並み内定辞退を受けるなどの実態を目の当たりにすることもあり「採用を甘く見ていた」「今の採用は厳しいんですね」などの声が上がることもあります。
採用の現場に現場社員を引き入れることが理解活動の1つになっていると感じますね。
●リクルーターの選定
「リクルーター=若手社員」というイメージを持つ方も多いかと思います。
しかしマツダでは、あえて中途入社の社員や第一線で活躍している社員にもリクルーター活動に協力してもらっています。
特に中途入社の社員は、他社のことも知った上で、マツダの特徴や他社にはないユニークさを芯が通った形で説明できるので、おすすめですね。
また第一線で活躍している社員も「こんなすごい人がこの会社にはいるんだ!」と、学生の興味・関心喚起のキッカケになったり、志望の決め手になったりすることがあります。一方でリクルーターも自分の凄さを分かってくれることに対し、素直に嬉しいと感じているようです。
活動に協力してくれる社員の選定を工夫するだけでもリクルーター活動に活気が生まれてくるかもしれません。
最後に
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マツダ
高田 -
私達もまだまだリクルーターのポテンシャルや良さを引き出しきれてないところがあると感じています。
良い形でミスマッチの少ない採用活動を実現できたらと思いますので、ぜひ同じ新卒採用している方々同士、業界を越えて協力して取り組めていけたらと思っています。
リクルーター活動のより詳しい内容は「アーカイブ配信」で!
<その他、こんなこともお話しています!>
◆ 学生からリクルーターへの要望はどのようにヒアリングしている?
◆ エリア外学生の採用はどう工夫している?
◆ リクルーターの選出基準は? 等
当日お話しいただいたWORKS REVIEWの動画をアーカイブで配信しています。
ターゲット学生を獲得するためのヒントを得られるはずです!ぜひご視聴ください。
【アーカイブ配信対象】
収録日: 2023/12/20テーマ: 理系採用成功のためのリクルーター活用 マツダに聞く立ち上げと活性化のコツ
≫≫ アーカイブ視聴はこちらから
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2007年にマツダ株式会社に新卒入社。
人事本部において、給与計算・社会保険・企業年金等の実務を経験後、
人事戦略や全社要員計画などの戦略企画系の業務に携わる。
2021年より新卒採用の責任者に昇任し、新卒採用を統括する。