採用活動
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「【速報】 945 人に聞いた! 25 卒学生就活調査報告!」を開催しました。

出演者

佐々木 直人 氏

NAB就業教育研究所

佐々木 直人 氏

1998年 三菱商事株式会社へ入社。オイルメジャ―の資源開発案件を担当後、三井物産との新規事業立ち上げに従事。その後、経産省のe-Japan案件から海外の中小企業における経営改革まで、官民・国内外・規模の大小に関わらずプロジェクトを推進する。「第1回 IT機能開発社長賞」を受賞。
その後全社IT戦略を担う新組織の設計に従事し、戦略立案から中途採用スキームの構築と採用、
育成計画の立案等を行う。経営企画部(課長)を経て、2010年12月末に退職。
2011年10月、「飯を食える大人」の育成・支援を目標に「NAB就業教育研究所」を設立。
就業意識の向上や実践的な問題解決力を高めるプログラムを考案。中高生から大学生、若手社会人、アスリート、経営幹部候補等と正面から向き合い、キャリア形成支援を実践中。

 岡野 玄

株式会社ワークス・ジャパン

岡野 玄

青山 瑞季

司会

青山 瑞季

学生を磨いて戦力にするのは全社会人の課題

青山 青山
これよりワークスレビューを開始いたします。本日司会を務めますワークス・ジャパンの青山です。よろしくお願いします。 例年に比べて採用活動が長期化するなど、採用のトレンドは目まぐるしく変化しています。一方で、コロナウイルスの流行も落ち着き、部活動やサークル活動、アルバイトなど、徐々に学生生活を取り戻す動きも活発になってきました。年々変化する学生の志向とともに、就活観も変化しているのではないでしょうか。
今回は企業側と学生側の意識のギャップを埋め、 今後本格化していく 25 卒採用を成功へ導くための最新の学生動向をレビューし、企業の採用戦略設計のヒントを配信していきます。
青山 青山
本日のゲストは、NAB 就業教育研究所 所長の佐々木直人様です。1998 年、三菱商事株式会社にご入社、多数のプロジェクトを牽引、新規事業の立ち上げも経験され、2010 年に退職後、「飯を食える大人」の育成・支援を目標に NAB 就業教育研究所を設立されました。
現在では、年間を通じて多数の企業、学校などで講義や研修、採用支援等を行っていらっしゃいます。
本日のファシリテーターはワークス・ジャパンの岡野が務めます。
岡野 岡野
岡野です。よろしくお願いします。佐々木さんは、年間 2,000 人を超える学生さんと向き合って、最適なキャリアを一緒に考え、指導なさっておられます。今日は学生さんの動向を私どもの調査結果を元に紐解いていきたいと思います。
1 つ目のテーマは、就活環境の変化と就活生プロファイルです。
佐々木 佐々木
就活は大きく二つの期間に分かれます。一つは説明会等の広報期間で、学生は多くの社会人との出会いを通じて、自分にふさわしい進路を見極めます。もう一つが選考期間です。この二つの期間、始まる時期が年々変化してきました。学生にも企業にも一番良かったのは2012年でした。10月に一斉に広報期間が始まり、その後半年ぐらいは、「大人になるってなんだろうね」みたいなことを立ち止まって考え、4月から大手の選考が徐々に始まっていきました。
ところが年々広報期間の開始が後ろにずれ、とうとう今年は広報期間と選考期間が混在し、学生はどういうスケジュールで動いていいのか分かりづらい状況です。
佐々木 佐々木
こうした就活時期の変化は、中間層の学生が伸びきれない状況を生み出しています。
各大学には 5~8%ぐらいの積極層がいると思いますが、彼らはいつ就活が始まろうが、自分で進路を選んで掴んでいけるので影響がありません。
ところが大半の学生は、周りの動きを見ながら就活をはじめ、企業や社会人と出会いながら進路をじっくり見極め成長していきます。この期間が十分に取れないため、気がついたら出遅れていた、準備不足のまま選考に突入した、という事態が起こりやすい。結果、積極層と中間層の学生で活動量に大きく差がついています。

加えて、24卒は初のフル・コロナ学年でした。1年生の頃から講義は動画配信、アルバイトや課外活動はできず、自宅にこもり先輩・後輩、学外での人間関係が乏しくならざるを得なかった。つまり他者に接して成熟する期間が取れなかったので、大人との距離の詰め方がわからないようです。社会人が会話の際に踏み込んであげないと、どうコミュニケーションを取ればよいのかわからないという学生が非常に多い。
今の時代の大前提だと理解していただきたいのですが、学生は、将来に強烈な不安を抱えています。まずはその不安を払拭してあげることが大事です。
佐々木 佐々木
積極層と中間層の間でレベル差が広がりつつあるため、積極層の学生たちは、企業間での争奪戦が発生していますが、その数は減る一方です。だからこそ積極的に目を向けるべきは中間層ですが、活動量が少ないことから、どの学生も同じように答える、似たような考えしか述べないので違いが分からない、という採用担当者の声もよく耳にします。外部との接点が少なかったので、企業、業界に関する関心と理解が薄く、逆にインターンに受け身で参加する学生も多数います。
また、年々、対話や思考力が低下傾向にあります。特に話を長時間聞き続ける持久力がなく、対面の場で大人の話をしっかり聞くことが難しいのかなと感じています。なるべく手間をかけずに情報を取りたいという傾向もあります。こうした学生は一昔前なら準備不足と採用を見送ってきた会社もあると思いますが、この程度のことは社会人側が積極的に働きかけ、開示してあげれば埋められる溝にすぎません。そうしないと、本当の魅力を引き出せず、ダイヤの原石を見逃してしまいます。
良いところもたくさんあって、フェアで立場の弱い人に寄り添おうという温かい気持ちを持った学生が年々増えています。人として素晴らしい魅力を持った中間層の学生たちに積極的に働きかけて魅力を掘り出し、どれだけ磨いて戦力に育てていけるかが、全社会人の課題だと考えています。

新卒採用の目的や求める人材像を明確に

岡野 岡野
ここからは、学生調査資料報告の速報です。ゴールデンウィーク中に 945人の学生の意識調査をしました。25 卒の 3 年生及び大学院 1 年生対象です。
佐々木 佐々木
この調査は全国でもトップレベルの行動力を持つ学生たちのアンケート結果です。一方、私は主に中間層の学生を教えているので、その両方を加味してお話します。
調査結果では、1、2 年生の間に資格の勉強や就活準備を頑張った人が多い。また、リモートの期間が長かったので、友達が少ないのも特徴です。4年生はフル・コロナの影響が深く、一番コミュニケーションを苦手とする学年のように感じます。今年の 3年生は少し会話への抵抗が低くなったように見受けられます。ただし、企業や大人に対する警戒感は変わらずあるので、まずこちらから心を開いかないと、なかなか本音を話してくれません。
岡野 岡野
次はインターンシップ参加予定社数です。去年は 10社以上という回答が非常に多かったのですが、今年は 半分ぐらいに減って、2~5社という回答が増えています。
佐々木 佐々木
この調査は積極層を対象にしていますが、彼らですら2~5 社ということは、下手をするとこの夏 1社行きました、あるいは 1社も行きませんでしたみたいな学生達が中間層になるのかもしれません。積極層の学生は、夏のインターンを通じて自分が就職する企業の目星をつけています。だから、今の時期に自社の情報が学生に届かないと、そもそも選考対象として見てもらえないので、企業側も困りますね。
岡野 岡野
ここまでのところの振り返りも含めてですが、インターシップに関して、調査報告見ていただいて、佐々木さんの方でポイントまとめていただけますか。
佐々木 佐々木
新入社員が初配属の際に一番気にすることは何か。人間関係です。だから、学生は社風や社員同士の人間関係をすごく知りたい。インターンの会場で、人事の先輩社員が後輩社員に舞台袖でどう指示して仕事をさせているか、といった生の姿をよく見ています。もちろん、早期選考の優遇がほしくて参加している場合も多く、少しでも安心できる要素を求めていると感じますね。
佐々木 佐々木
では、企業側は学生をどう迎えればよいでしょうか。就活生には‟お受験型タイプ”と“お見合い型タイプ”が存在します。“お受験型”は例えば有名企業から内定を取れたらエラいといった価値観を持っています。昭和や高度成長期ならともかく、就業についての意識醸成ができていないと感じました。
一方で、“お見合い型”は自分に合う環境がどこなのか、どこの会社、組織に行けば自分が伸びて、組織にも貢献できて、先々の人生明るくなるのかということを真摯に考えキャリア形成と向き合っています。こうした人たちを増やし支えていくのが私の仕事なのですが、両タイプの学生が混在して皆さんの前に現れるのが、今年の状況です。
佐々木 佐々木
学生は企業に惹かれる前に、採用担当者に興味を持ちます。説明会やインターンの場で接した採用担当者が横柄な態度や差別的な発言をすると、スッと引いていきます。たまたま一社員に問題があっただけでも、採用担当者は会社を代表しているものと受け止めます。プログラムについても、短時間で企業の内容を知りたいと考えているので、業務にも関係ない意図のよくわからないグループワークや作業をやらされると、やはり引いていきます。
岡野 岡野
就活全般について、まとめをお願いします。
佐々木 佐々木
コロナ禍を経て、企業から相談を受ける内容がこれまでと変わってきています。テーマは大きく3つあり、一つ目が「若手の離職を防ぐために何をしたらいいのか」。二つ目は「マネジメントの実践的な方法を教えて欲しい」。ボロボロと若手が辞めていくのが止まらない、リモートワークの浸透によって、実はマネジメントが全くできていないことが露になった、などですね。三つ目は「企業風土そのものを変えたい」。

実は、全部根っこは一緒ですね。自社における入口(採用)、中身(就業中)、出口(退職)の全体像を定義したうえで、新卒採用とは何を目的としてやるのか、どんな人を求めているのか、ということを具現化していただきたいと思います。
全体を俯瞰したうえで新卒採用のメッセージを研ぎ澄ませて学生に伝えている企業は、人が集まらない、ミスマッチが多発するといった採用での苦労はないようです。
例えば採用パンフレットとは何を伝えるためにあるのか、マイページ上では何を伝えるべきなのか、ESは何のために、どんなテーマを設定すべきか。その後どんな社員を当てて何を伝えるのかまで、コミュニケーションを丁寧に設計しています。お金ではなく手間をかけているのです。こうした企業からのメッセージは学生にちゃんと刺さっています。どういう学生が欲しいのか、偏差値ランクやリーダーシップどうこうではなく、具体的にどんな行動ができる人、どんな特性を持った人、どんなことに思いを馳せている人が欲しいのかということを、言語化することが肝要です。

少人数の座談会なら学生もリラックスして話す

岡野 岡野
「人事担当者や面接官に惹かれてという志望理由から、業務理解まで進んでもらうコツは?」というご質問いただきました。
佐々木 佐々木
仕事のことを何も知らない学生に、入社後のキャリア形成をイメージできるように伝えてあげるのが重要だと思います。20 代ではどんな仕事をしていくのか、どんな規模でどんな決定を任されるのか。それが30 代なるとどう変わっていくのかみたいなことです。
司会 司会
「現場の社員さんとも会いたい学生さんも多いと思いますが、そういう時にどういう層の社員さんにどういう話してもらうか、設計のポイントを教えてください」との質問です。
佐々木 佐々木
新卒採用は、人事部の入社 1、2 年目の方が担当するケースが多いようですが、仕事の理解が十分ではないので、サポートや相談に乗る役割ならいいと思いますが、 5~10 年目のひと通り仕事を経験した人に語ってもらうことがより大事だと思います。
岡野 岡野
企業の皆様からいただいたアンケート調査だと、内定後の辞退と、選考中の辞退の高さに悩みを抱えていらっしゃるようです。辞退率を下げる方法はありますか。
佐々木 佐々木
最初は興味を持ってもらうために間口広げるとしても、2 回目のインターンでは、リアルな働き方を伝えて、うちの業務が合わないと思うなら辞めた方がいい、と伝えた方が良いですね。辞退する人は早い段階で辞退してくれるので、本選考では志望度が高い本気の学生達が揃ってくれるでしょう。
岡野 岡野
内定フォロー施策について、学生さんが求めているものはどのようなものか、ご教示いただけますでしょうか。
佐々木 佐々木
ある企業の採用設計をした際、内定者にバイト代を出して、夏のインターンの学生対応に入ってもらいました。会社のことを就活生に説明しなければいけないので内定者自身の自社理解も進みますし、胸を張って話したいので、詳しく調べてモチベーションも上がる。結果、就活生に好評だっただけでなく、内定者の辞退率も下がった事例がありました。
青山 青山
インターンシップについて、学生さんは対面とオンライン、今の時期だとどちらを求める声が多いのか、また、学生さん受けのいいインターンシップの傾向とかありますか。
佐々木 佐々木
都市部の学生は完全に対面です。地方の学生はオンラインで関わる機会を増やしたいと思っています。また、理系の学生は研究で忙しいのでオンラインのニーズが高い。内容については、社員の方と話ができる機会にニーズがあります。少人数での座談会なら、学生もリラックスして喋れると思います。
岡野 岡野
では、トークセッションは終了させていただきます。たくさんのご質問ありがとうございました。最後に佐々木さん、メッセージをお願いします。
佐々木 佐々木
不安を抱えている学生をうまく支え、皆さんの会社にぴったりの方が入ってくださることを祈念しております。 どの学生も育てようという気持ちでいます。
ぜひ、一緒に社会を支える仲間としてスタートラインに立たせてあげられるよう、よろしくお願いします。
青山 青山
では、本日のワークスレビューは以上で終了です。最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました。