採用活動
出演者
住友商事グローバルメタルズ
人材総務グループ
採用・人材育成チーム 主任
菊池 大輔 氏
サンケイビル
人事部 チーフ
須田 裕也 氏
新卒入社でマンションデベロッパーにて商品企画・マーケティングに従事。その後ゼネコンで、人事部(採用・研修、制度企画他)の経験を積む。
2020年より現職。現在は採用全般の担当と育成研修体制の構築の推進担当。建築学科卒一級建築士。
株式会社ワークス・ジャパン
人材ソリューション事業部
プロモーション部 PR3課 課長
住田 匡
現場の社員とのリアルな交流を求める22卒学生
- 住田氏
-
私からゲスト企業2社様の採用のご状況を、ご紹介させていただきます。
まず住友商事グローバルメタルズ様は、総合職で10名ほどの採用、22採用から初めて夏インターンを実施されました。学生と社員の交流を深めるためのオンラインセミナーを実施しながら、コンタクトポイントを意識したフローを注力されてまいりました。
もう1社のサンケイビル様も、採用規模としては総合職で10名程度です。今まで夏インターンの実施はしておらず、22採用から初めて秋インターンを実施されました。その後、1月、2月とグループワーク・座談会を設けることで、課題であるディベロッパー業界での認知、優秀層へのアプローチを意識されております。
22採用に向け、今後は選考や内定者フォローの施策が動いてまいりますが、まずは現在の22学生の就活状況について、指定校学生約1200名のアンケートをもとに概況をレビューします。
- 住田氏
-
今回、ポイントとしては3点。
1点目は、「9割の学生はインターンに参加しているものの、約3割は、参加後に実は何も調べていない」ということがわかりました。
参加すること自体が学生にとって目的となっている可能性が見えてきました。
- 住田氏
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2点目は、就職活動開始からインターンシップ参加までの早期のタイミングでは、「周囲に流されながら活動している傾向にある」というのがわかりました。今回実施したインタビューの中で、多くの学生から「とりあえず」という言葉がいろいろな場面で聞こえてきましたので、これも今の時代の特徴なのかもしれません。
3点目、これから本エントリーを迎える学生にもかかわらず「自己分析や業界研究、企業研究が進んでいない」ことがわかりました。大学のオンライン授業化に伴い、周囲とのコミュニケーションが取れていない状況下で、学生個人、独自の情報収集となっている可能性があります。また、企業選びの基準について、「社風が自分に合うかを重視している」こと、インターンシップでは「現場の社員とのリアルな交流を通じて、その企業で働くイメージや自身と合っているかどうかを判断していきたい」ということが見えています。このポイントに関して、今後の採用活動の中で、情報提供のあり方や場面も考えていく必要があると思ってます。
- 住田氏
-
以上3つのポイントが見えたところで、皆様に「オンラインで働くリアルを伝えられていますか?」というアンケートを取らせていただければと思います。回答は、「うまくできている」、「うまくできているがより良い方法を知りたい」、3点目「課題に感じている」。ぜひ、ご回答をいただければと思います。
はい、投票が出揃ったようです。皆様ご協力ありがとうございました。集計が完了いたしました。「うまくできている」0%。「うまくできているが、より良い方法を知りたい」23%。「課題に感じている」77%です。今の結果、率直な感想としてどうですか?
- 菊池氏
- 皆さん悩んでいらっしゃるんだなっていうのが。
- 須田氏
-
どんな課題かというのは、皆さんいろいろあるでしょうけれども。そこは後で知りたいところです。
オンラインインターンシップの工夫
- 住田氏
- それでは、2社の22卒採用スケジュールについてお伺いできればと思います。住友商事グローバルメタルズ様は学生向けにセミナーを開催されているそうですが、具体的にどの時期に、どんな規模感で、どんな内容をされているのでしょうか。
- 菊池氏
- 当社は、元々はインターンシップを秋と冬にやっていましたが、就活の動きも早くなっている状況も踏まえ、夏にやったほうがいいだろうというところで、今期は9月から実施しました。それに伴い、毎月1回、SCGM(住友商事グローバルメタルズ)セミナーを去年の7月から毎月1回開催して、定期的なフォローをしています。ウェビナー形式で毎月テーマを変えて実施していて、例えば3か国を繋いで海外同時中継をしたり、新人と指導員の3ペアに出てもらって新人の最近感じていることをぶっちゃけトークしてもらう、といったことをやりました。自分たちが伝えたいメッセージというよりは、毎回参加学生にアンケートを取って学生が知りたいことや、「やったら面白そうだ」というテーマで話しています。毎月参加してくれる子だと、当社の社員を通算20~30人、見ている感じになってますね。
- 住田氏
- 学生が知りたいことを展開していくというのは、やはり学生にとっても嬉しいですよね。
- 菊池氏
- オンラインだと一方向になりがちなところはありますよね。企業はどうしても「自分たちが知ってほしい事」を伝えがちです。しかしそれだと情報が偏っちゃうというのがあって。それで、アンケートからテーマを決めています。僕らもネタを探すのが結構大変なので(笑)Win-Winですね。
- 住田氏
- 一方で、サンケイビルの須田様は、人事のご経験を10年お持ちということで、今までの採用活動の中で、スケジュール・学生の就業意識・就活の意識が「変わったな」と感じられている点があったらお伺いしたいです。
- 須田氏
- まずスケジュールでいくと、やはり早期から学生が動き出していますので、極端に二極化し始めている、その分、人事採用担当もずっと動かなきゃいけないというところはあると思います。それに対して、なるべく学生が選べる範囲で接触する機会を増やしてあげるようと工夫しているところです。この10年、だんだん人事が言う言葉が、学生からあんまり信用されなくなってきているところを僕自身は感じていまして(笑)学生がなるべく社員と交流したいというのも、人事の言葉より社員のリアルな本音を求めているように変わってきているとすごく思います。
- 住田氏
- ちなみに菊池様も、座談会に現場社員をよくアサインされているのはそういう背景があったりするんですか?
- 菊池氏
- 会社に入ってからどんな仕事をするかをイメージしてもらわないといけないので、基本的には人事で完結しないように、採用活動の色々な場面で毎回営業部の人に頼んで学生と話してもらったりしています。そうしないと学生も、肌感覚でわからないと思っています。
- 住田氏
- 須田様、さっき、人事の言葉があまり信用されなくなったと言ってましたけど(笑)。
- 須田氏
- 極端な言い方ですけど。ただ、人事が言わなきゃいけない、整理してあげなきゃいけないという場面もいろいろあります。オンラインになると、ますます演出的なところは大事になって来ていると感じまして。演出してあげて、なるべく興味を持ってもらって、それで、社員からいろいろリアルな話を聞いて理解してもらうというのが、学生に与えられる一番大事なポイントなのかと思います。その後で、どんなことを聞けて、どういうところが刺さったのか、というのを、我々がヒアリングしてあげることで、学生も頭の中を整理できるのかなと思います。
- 菊池氏
- 今は情報過多だと思うんですよね。いろんなサイトに情報が上がり過ぎていて。そこは交通整理しないと危ないなって。
- 須田氏
- そうですね。結局いい情報ばっかり届いちゃうところはありますよね。
- 住田氏
- 先ほどの「交通整理」というお話に紐づきますが、結構学生の就活フェーズに合わせた情報投下は意識されますか?
- 須田氏
- 私は意識します。いきなり最初から「仕事って厳しいよ」と言うと「おぉ...」と引かれてしまうので。特にオンラインでは、敢えて遊びを見せるようにしていて、先輩社員として自己紹介するだけじゃなくて、社員が他己紹介し合って、じゃれ合っているところを画面で見せてみたり。最初はそういう、ちょっとしたところから興味を持ってもらう、最初の遊びがとても大事だというのは感じますね。
- 菊池氏
- よく聞くのが、社員同士が話している瞬間を見ないから、それで雰囲気がわからないというか。
- 須田氏
- うん、そう、そこなんですよ。
- 菊池氏
-
たぶん、対面でインターンシップに行くと、社員同士が話している感じから、なんとなく会社の雰囲気を掴んで帰ると思うんですけど、オンラインだと、画面がいくつか並んでいて、そこで一人の人がしゃべるので「この人はいい人そうだけど会社全体はどうなんだろう」という、逆にモヤモヤが出ちゃうののかなって(笑)。
そのちょっとしたアドリブのところが実は、あとで一番「よかったです」なんて、たまに言ってくれる学生はいますよね。
- 須田氏
- そうですよね。
- 菊池氏
-
セミナーでも、学生にQ&Aを投稿してもらっている間に「社員同士でトークします」と言って、すごくくだらないことをしゃべるんですけど、コメントを見るとそこが一番ウケていますね(笑)。
「自分も筋トレします」とか、「パワー系の人多いですね」とか。
- 住田氏
- (笑)いや、でも、そういうところから社風だったり、文化が見えたりしますよね。
- 菊池氏
- 間違いないと思います。
- 住田氏
- お二方のお話を聞いていると、学生目線にすごく寄り添っていると感じます。フェーズごとの情報投下や、社員同士のコミュニケーションを見せるということは、学生の目線に合わせた活動をされていて、面白いですね。
現場社員の協力体制と「成長軸への共感」
- 住田氏
-
「学生目線」という一つのキーワードに対して、人柄だけじゃなく仕事のリアルを伝えていく中で、たくさんの社員の協力という話が出てますけど、その協力体制とか周りのサポートは、どのように手配をされているのか伺いたいと思います。
菊池様いかがですか?
- 菊池氏
- 当社としては、オンラインの方がやり易くなったというのがあります。というのも、今までは東京とか日本にいる人のみで、海外に駐在している人からの協力は得られないことが多かったんです。でも、オンラインになったことで、結局どこでもできるじゃないですか(笑)。だから「これからはこれがデフォルトですよ」と、周知・説明をして、それで、オンラインでOB・OG訪問をいろんな人にやってもらうようになりました。あとは、学生が多くの自社イベントに参加するようになって、「この学生はこのインターンシップに参加して、こういうような志向がある」と僕らは学生の情報を結構仕入れられるような状態になってきているので、「だから、あなたに、社員訪問お願いしたいんですよ」という言い方をするようになったんです。ただ、ちょっと時間がかかるやり方です(笑)。正直「しんどいな」と思う瞬間はあるんですけど、こうすると営業部の方たちも気持ちよく、「それならやろうか」という気持ちになってくれるので、このやり方を続けていくと思います。
- 住田氏
- 結構、回数こなしていると思うんですが、ストーリー性を意識されているんですか?
- 菊池氏
- 就活序盤だったら、過去の就職活動をしたときのぶっちゃけ話から始めて、途中で海外駐在している人に登壇してもらって、学生の興味を引いていって。就活後期の1月は若手の管理職に出てもらって、担当職の時と中間管理職の違いを話してもらったりしています。対象の学生やフェーズによって、「この社員にこういう話をしてもらいたい」という点は、ある程度意識して、社員にも伝えています。
- 住田氏
- それは学生にもありがたいですね。
- 菊池氏
- そう思ってもらえると嬉しいですね(笑)。
- 住田氏
- 須田様はいかがでしょうか。
- 須田氏
-
似ているところはありますね。我々の属する不動産業界はOB・OG訪問をする文化というか歴史があって、中には他社含めて50人もOB、OG訪問をする学生がいます。ですので、本当はもっと「人事はこう言うから、社員はこういうことを言って欲しい」というふうに情報の整理をしたいんですが、実はまだ体系化している最中です。それよりも、さっき菊池さんが言ってくれたような、「こういう学生で、こういうところに興味を持っていて、こんな年次でこういう人と会いたいというリクエストがあったので、あなたに会って欲しい」という、最初のイントロダクションを丁寧にしてあげると、やはり社員も非常に協力的になってくれますし、最初から盛り上げてくれます。
あとは、「この前会った社員は、実は先輩・後輩で」とか、「この間、一緒にゴルフに行ったんだよね」とか、そんな雑談も、より話を深化してもらえるというのはすごくあります。やはり我々人事から言うよりも、社員から「うちは仲がいいんだよ」と言ってもらうほうが、伝わりやすいというのはすごく感じます。
- 住田氏
- ちなみに仕事のリアル感で、「仕事がしんどいな」というところも、ぶっちゃけて言いますか?
- 菊池氏
- 当社は言いますね。言うんですが、しんどさで得られる成長が、自分の成長軸のベクトルと合っていれば基本的には耐えられると思うんですよね。寧ろそれがあるからこそ、自分は成長できていると実感できると思います。「当社はこういう成長軸を描いていきたいと思っています。皆さん、当社の成長軸と自分の成長軸はマッチしていますか?」というような問いかけをして、「もし共感してくれるのであればぜひ当社を受けてください」という言い方をしています。全員に好かれるやり方をしていないので、最初から「この会社興味ないかも」と思う人も多いだろうと思いますが…。でも最終的に軸が合っている人たちが集まってくれれば、僕らも自信持って、「まぁしんどいけどこういう成長できるよ」とお伝えできるので、そこは正直に話しています。
- 住田氏
- 「成長軸への共感」がポイントなのかと思ったんですけれども。トップメッセージで企業の方向性を示すとよく言いますよね。一方で会社人としての成長軸は、やはり現場の皆さんの活動や日々感じていることの一つひとつが「何となくここに共感」してもらう大きな要素になりますね。
- 菊池氏
- そうですね。営業部の方たちがどう成長したかとか、何を目指しているのかを話して、やっと腑に落ちるというか。
- 須田氏
- やはりそこだと思います。不動産業界も結局のところ、業務をブレイクダウンしていくと、非常に細かな調整だったり折衝だったりが多いので、その先に、「こんな苦労もあったけれども成長できた。こんな結果が見えた」ということを、実体験に基づいて社員が話すことによって、辛いけど乗り越えられるマインドが学生に伝われば、一番の訴求力に繋がると思います。
- 住田氏
-
先ほど菊池様から、オンラインになったが故に、全国・海外問わず、社員が関わりやすくなったという話がありましたけれども、逆にオンラインになったが故に伝わりにくくなった部分はありますか。
- 菊池氏
- 一長一短ですね。今はプラスかなと正直思っているんですけど。やはり、対面で来てくださいとなると、どうしても来れる学生も限られてしまいます。その部分では、伝えるための回数をオンラインでたくさん増やしたほうが、対面よりもたくさんの情報を伝えられ、社員を見てもらえると思います。例えば今年の内定者なんかは、対面のイベントも来ていて、そこからまたオンラインのイベントも参加してくれて、一番多く参加した子はイベントで37人も社員と会ったんですよ。
- 住田氏
- 多いですね。
- 菊池氏
- そうなんです。500人ちょっとの会社ですので、基幹職で言えば1割以上の社員に会っている計算になります。その学生は、「いろんな人がいる。だからこそ、自分もどこかの部署で活躍できると思った」と言ってくれました。結果としてオンラインでたくさん会って志望を固めてくれたという実例もできたので、僕はあんまりネガティブな要素は感じていないですね。
- 住田氏
- 多いですね。
- 菊池氏
- そうなんです。500人ちょっとの会社ですので、基幹職で言えば1割以上の社員に会っている計算になります。その学生は、「いろんな人がいる。だからこそ、自分もどこかの部署で活躍できると思った」と言ってくれました。結果としてオンラインでたくさん会って志望を固めてくれたという実例もできたので、僕はあんまりネガティブな要素は感じていないですね。
- 住田氏
-
ありがとうございます。
須田様、どうですか。
- 須田氏
- マイナスのデメリットから言えば、オンラインで地方の学生に会えるので、交通費の予算が来年は削られそうということですね(笑)。メリットは、学生と距離感を詰めるという意味では良いところがたくさんあると思います。
社風の見える化、非言語の見極め
- 住田氏
- ここで、ご質問をいただいているのでご紹介します。
- MC津末
- 社員同士のコミュニケーションを増やして社風を見せるということですが、それ以外に社風を見える化するための戦略はありますか。という質問です。
- 須田氏
- オンラインになると縦横の2画面でしか見えなくなり、最初の接続と、終了後のちょっとした人事のコミュニケーションが、今まで以上に無くなっていると感じます。気を付けていることは、接続のときのアイスブレイク、それから終了時のクロージングを意識しています。このオペレーションで、直接的に社風が伝わるとは言えないかもしれませんが、丁寧な引き継ぎは伝えられるので、まず大事にしているところです。
- 住田氏
- 菊池様はどうですか?
- 菊池氏
-
意識していることとしては、「社員が偏らないようにする」というところです。例えば社員訪問する学生にエース社員を会わせたいという気持ちはあるんですけれども、やはり偏ってしまうので、いろんな社員にインターンシップやイベントに協力してもらって、「いろんな人がいる」ということを伝えています。社員訪問がを内定承諾に直結させるというよりも、会社に入ってから違和感を持たれないようにしたいというのがあります。一部の超優秀なエース社員だけ見て判断されるよりは、会社に入って「あ、やっぱりこういう雰囲気だった。良かった、自分と合っているな」と思ってもらうのがいいかなと。内定までというよりその先を考えて、いろんな人を見せています。
- 住田氏
-
一方で、別の方からの質問なんですけれども、インターンなどのイベントがオンラインとなることで、「この人優秀なのかな」とか「熱意があるな」といった学生の見極めが難しいのですが、何か工夫されていることはありますか? ということです。
菊池様いかがでしょうか。
- 菊池氏
- 優秀は優秀だけど、業務体験しに来ていないという人はすぐ分かります。というのも、インターンシップに参加するのが当たり前になっていろいろ参加している分、「こんなもんかな」と全力でやっていない学生が増えている気がするんですよね。様々な企業でゲーム形式やチーム対抗で競わせる形式のインターンシップを実施していると思いますが、当社もトレードのインターンシップをやっていて、受注した額で競うというのが一つのテーマになっています。100回くらい「商社パーソンになり切ってください、その上でいろいろ判断してください」と言っているんですけど、とにかく勝てばいい、とゲーム感覚に陥っちゃう人がいて。「これでいいのか? 商社だったらこうするんじゃないか?」というふうに考えられる学生は少なくなってきた感覚です。ワークはすごく優秀だったけど、この人商社には向かないね、みたいな子が増えました(笑)。そういう点から、見極めという意味ではワークの取り組み方の姿勢はみています。
- 須田氏
- オンラインでインターンシップをするにあたって、時間を短くして、zoomのブレイクアウトルームで議論をしてもらうことをかなり多く設けています。今までであれば選考は密室の中だったので、役員や部長が見にくることは無かったんですけど、オンラインになったことで、人事と一緒になって実はうん営の様子を見ていたりします。そうすることで、「この子はこうだよね」という議論をできるということ、僕は非常にプラスに捉えています。我々の業界的にはコミュニケーションが取れる人間を非常に求めていますので、そこは結構気にして見ています。あと、イベント終了後に1時間ぐらい「どうしても質問したい人は残ってください」という場にしていて、徹底的に応えるようにしています。そこで残ってくれる、自発性がある学生を大事にしたいと思っています。
- 菊池氏
-
ちなみに、当社の場合、対面でやっていたインターンシップをオンライン化しているんですけど、事務局の必要な工数は増えたんですよ。今まで通り全部見ようとすると、運営を行う事務局の数を増やす、一方で学生数は減らすということで、二重苦になっています(笑)。
須田さんもそうなってませんか?
- 須田氏
-
(笑)いや。やはりそうですね。オペレーションは手間がかかりますよね。時間を短くした代わりに、スライドで伝えたいことも詰め詰めで、全然雑談する余裕ないですね(笑)。
- 菊池氏
- なんかもう、「オンラインでやりたくないね」とも言っているんです、実は(笑)。今まで学生の参加数が24人だったのを18人に減らしてやっていて、単純計算で25%減って、事務局が今まで3人だったのを5人にしているので、なんかこれ、効率合っているのかな、と思うんですけど(笑)。
- 須田氏
- 反応がわかりにくいですよね。
- 菊池氏
- ですね。各ブレイクアウトルームに1人社員をつけて、「密に見ることができた」ことの効果検証は内定者が決まってからになるので、どうなるやら。自分でも不安なところではあります。
- 住田氏
- こういう環境下だからこそ、今、お二方がやられているような、社員にたくさん会わせて会話してもらう、残ってくれた学生を熱意があると判断して、よりコミュニケーションを取っていくとか、そういう手法は、見極めも含めてすごく大事なんですね。
- 須田氏
- そうですね。
就業観の醸成をどうやるか
- 住田氏
- 学生に対してリアルを伝えることが、いわゆる就業観の醸成になるというお考えでしょうか。
- 須田氏
- そうですね。今の学生は、リアルな情報を求めているんですけど、最初から全てを受けきれはしないと思うんです。だから各個人の受け取るタイミングが、大事だと思っています。全ては管理できないですけど、当社の場合は、社員訪問の後に、「どんなことが聞けて、何が印象に残ったのか」、「もし興味があるんだったら、次どんな別の人と会ってみたいか」ということをヒアリングしています。本人が整理して自発的にそういうマインドを醸成してもらうことが大事なのかな、と思いますね。
- 菊池氏
- 学生からすると「リアルというのがそもそもなんなの?」 という感覚があると思います。学生がいろんな会社の情報を見聞きして比較していくと、それがだんだん立体的になっていく。自分たちの会社のことだけしゃべっても、最終的にいいリターンは返って来ないと考えています。就業観を養うためには「〇〇業界だったらこうだよ」等の全体的なアドバイスや、社会人のマインドも少しずつ教わることでだんだん「働くってこんな感じかな」とイメージがついて来ると思います。「うちだったらこうだよ」という点だけ伝えちゃうと、最終的にはそれが好きか嫌いかになってしまうので、リアルは伝えつつ、「社会人として」情報を与えてあげる、というところが大事かと思います。
- 住田氏
-
そうですよね、「社会人として」。
それって就活全体に言えることだと感じました。とはいえ、彼ら学生も目の前のインターンシップ選考に落ちてしまったとか、現実を突きつけられる瞬間があると思うんですけど、その辺のフォローは何か意識されていたりされますか?
- 菊池氏
- インターンシップに落ちた人にも何かしらお土産があるようにというのは意識をしてます。学生にも貴重な時間を使ってエントリーシートを書いていただいたりとか、録画面接受けていただいたりとかしているので、そこはお互いが対等な立場でやり取りをすべきだと思っています。ですので、インターンシップに落ちてしまった学生向けにワークショップをやったり、動画のアーカイブを限定で見れるようにしたりしています。あとは、今度女性基幹職の座談会をやるんですけど、申し込みに漏れてしまった人については、どんな座談会だったかという、その日のメモを展開するということをやろうかなと思っています。時間をかけてくれた以上は、そこに報いることで、学生と企業間で信頼関係できるのかなと、思います。
- 須田氏
- 優しいですね(笑)。
- 住田氏
- (笑)須田さんは?
- 須田氏
- そうですね。菊池さんに言っていただいたように、やはり同業他社なり他の業界も見てもらうことで、自己の整理にも繋がると思いますし、我々としては「また戻っておいで」とゆるく管理することが似合っていると思います。なるべく学生自身のタイミングで、自分が思ったこと、一番響いたことを言語化してほしいので、我々は情報提供して、待ってあげなきゃいけないです。どんどん情報を取りに来る学生にはやはり応えてあげたいですし、逆に言うと、そういった学生ともっと早く接点を増やすために、とにかく誰にでも接点を持つというのはなるべく避けるようにしたい。それが最終的には、学生の就業感醸成に繋がるのかな、というふうに思っています。
- 住田氏
- ちなみに、社員のアサインはどういう感覚でやられているんですか?
- 須田氏
- 当社の場合はセグメントが分かれていますので、ビル、ホテルリゾート、それからマンション、その他ビルのテナントリーシングだとか、こっちが具体的なポジションを出してあげて、少しずつ会ってみたい社員像を具現化できる手伝いをしています。ただ、最後は、やはり感覚的なところはありますよね。あの子にはこの人がいいだろう、というのが。
- 菊池氏
- 当社の場合は、その子の大学OB・OGに限らないようにやっています。というのも、大学の先輩だから何かいい話が聞けるかというと、そうでもないかなと思っていて。大学だけ共通項で、その他は全然違う人かもしれない、ということもあります。なので、学生には就活軸と、会ってみたい社員像、具体的に聞きたい質問を教えてもらい、社員をアサインしています。実際に就活軸に合うような業界で働いて、今、やりたい仕事をしている社員が出てくるわけですが、それでもイメージが湧かなかったら「マッチしていなかったんだ」とお互いに割り切れると考えています。
- 住田氏
-
お二人のお話を聞いていると、採用そのもの、根本に立ち返った感じがしました。優秀だから内定というのではなくて、就業観や仕事そのものに対して価値を見出してあげるというような取り組みをされているなと。これが私たち大人が、彼らにやってあげる役割なのかなと考えさせられました。情報提供とか、接点の強化とか、社員交流というのは、一社だけじゃなくて全体で取り組むべきことなのかなと今回のお話を通じていただいたと思っております。
もう時間が残り少なくなって、非常に名残惜しいんですけれども、この辺でトークセッション終了とさせていただきます。それでは、最後にメッセージ菊池様からお願いできますでしょうか。
- 菊池氏
-
まだ私も6年目というところで、大層な立場ではないんですけれども、学生とたくさん接点を持ってきた中で感じたこととしては、やはり一社だけでは学生のキャリアは考えられないというふうに考えています。ですので、様々な企業が少しずつ学生のキャリア形成に繋がるような関わり方をしていくことで、業界や、日本社会全体が良くなるんじゃないかなと思っています。
今年はフルオンライン就活の一発目というところで、学生の不安も大きく、当社としても学生をしっかり見ていきたいですし、是非業界全体で盛り上げていけたらなと思っております。
今日はありがとうございました。
- 須田氏
-
オンラインは強力なツールとして、絶対的に必要になってくると思います。さらに、オペレーションと、それを理解してもらうための社内調整が採用担当に求められています。そこがうまくいかないと企業の採用も二極化に進む一因になるのかなと思います。
その上で、採用担当というのは、同業他社の戦略を一番間近に見れる立場だと思うので、逆に採用担当が学生をぐいぐいと引っ張れるようなやり方をすれば、強力な信頼関係と学生と腹を割って話せるような環境を作れるのかと思うので、そういうことをみなさんとやっていければと思います。
よろしくお願いします。
- 住田氏
-
「やはり採用市場というのは一社だけじゃ駄目なんだ」だったり、「いろんな業界が合わさって、彼らを成長させていくことが大事だし、一社単独でできないことだから、ぜひみんなで協力し合いましょう」、というお言葉も様々な企業からいただいていました。このWORKS REVIEWを通じて、そういったお考えのある企業様と一緒にコミュニケーションが取れたらいいなと思いました。
本当に菊池様、須田様、ありがとうございました。
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採用活動においては「入社後がイメージできる様、背伸びせず等身大の社内を学生に見せる」ことを意識しイベントを設計。